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賢策の変化
ウチの学校を簡潔(かんけつ)に言いあらわすとしたら『その他大勢のザコキャラ集団』ってところだろう。
何もかもが平均的で、際立(きわだ)ったものなんてない。
すべてが平凡なこの学校で、須藤賢策は浮いた存在だった。
それもそのはずで、もともと賢策はウチの学校なんかよりもずっとハイレベルな逸材(いつざい)なんだ。
県内一の進学校に合格できるだけの学力があったし、しかも中学のときはサッカー部のキャプテンを務めていて、スポーツ推薦で名門校にはいることだって可能だったんだ。
それなのに賢策は、あえてレベルを大幅(おおはば)にさげてこの学校を選んだ。
その理由は、
「レベルをさげてはいれば楽をして上位の成績をたもてるし、それに僕、本当はあまりサッカー好きじゃないんだよね、走ってばかりで疲れるし」
ということらしい。
ま、いかにも賢策の考えそうなことだけどな。