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完全に終わってしまうかもしれない、だけど……
駅の階段を駆けあがった。
ホームに着いたときにはもう電車はきていて、発車のベルが鳴っていた。
俺は閉まりかけたドアに向かって走り、ぎりぎりのところで車内に飛びこんだ。
開閉扉にもたれかかって息を整える。
駆けこみ乗車はたいへん危険ですのでおやめください、と車内アナウンスが放送された。
周囲の乗車客から非難の目で見られたけど、そんなことを気にしている余裕なんてなかった。
とにかくいまは、すぐにでも暮咲さんに会いたかった。
暮咲さんは自分のつらい過去を、俺に伝えた。
そうすることで俺たちの関係が壊れてしまうかもしれないのに、それでも暮咲さんは俺に伝えた。
それを胸に秘めたままだと俺と一緒に喜べないって思ったからだ。
いまが幸せだって心から言えるようになるには、すべてを俺に受けいれてもらう必要があったんだ。
だから、暮咲さんは……。