2019年2月2日土曜日

少しワガママな女性がモテる心理学的な理由


今回は恋愛に関するエッセイです。

***

 男性にうまく甘えたり、上手(じょうず)におねだりできる女性というのは、男性に好かれやすい傾向にあります。
 こういうタイプの女性は、女性同士のあいだでは評判が良くないこともあるのですが、でも男性にはモテたりするんですよね。

 ここでひとつ疑問が――

 女性が甘えたりおねだりして、男性に何かをしてもらった場合、してもらったほうの女性が相手の男性に好意をいだくのなら、それはわかる。
 でも、なんでしてあげたほうの男性が、ワガママを言ってきた女を好きになるんだ?
 おかしくね?

 ……理解できないというか、納得できない人もいるかと思います。

 実は、これには心理学的な理由があったりします。

「何かをしてあげたり、助けてあげた相手に対しては、好意をいだきやすい」
 という心理作用が、たびたび働くんですね。


「心」は、矛盾をきらう


「助けてあげたほうが、相手のことを好きになる」
 という心理は、「認知的不協和(にんちてき・ふきょうわ)」によって起こります。

「認知的不協和」というのは、レオン・フェスティンガーというアメリカの心理学者が提唱した理論で、心理学ではポピュラーな理論です。
 人は、自分の考えと行動のあいだに矛盾(むじゅん)が生じると不快感をおぼえるため、自分の考えや知識(場合によっては行動)を矛盾のないように変えようとする心理のことを認知的不協和と言うのですが――

 こういう学術的な説明のしかただと、かえってわかりにくいですよね(苦笑

 簡単に言うと、
「人間の心は、つじつまの合わないことが起こると、強引につじつまを合わせようとする」
 ということです。


何かをしてあげると、相手のことが好きになる?


 本来であれば、相手の要求に応(こた)えて何かをしてあげたり、助けたりするのは、その相手に対して少なからず好意をいだいているからです。

「好きだから、相手の望むことをしてあげる」
「好きだから、助けてあげる」

 これが矛盾のない状態(協和している状態)です。


 ところが、上手に甘えたりおねだりされて、好意をいだいていなかった相手に何かをしてあげたり、助けてあげた場合は、
「好きでもないのに、相手の望むことをしてあげた」
「好きでもないのに、助けてあげた」
 という矛盾した状態(不協和の状態)におちいります。

 このような矛盾した状態(不協和の状態)になると、人の心は不快感をおぼえるため、強引なつじつま合わせをします。

 つまり、
「この人の望む通りにしてあげたのは、この人のことが好きだからだ」
「この人を助けてあげたのは、この人に好意をいだいているからだ」
 と、考えや感情のほうを書き換えて、矛盾を解消するんですね。


 この種の認知的不協和は、男性のほうに起こりやすいようです。
 男性は、女性に対して、
「守ってあげたい」
「頼られたい」
 という欲求を、潜在的にいだいているからだと思われます。


ほどほどのワガママは、男性を喜ばせる


 女性が「自立心」を持っていることは、とても素晴らしいことです。
 女性は男性よりも「依存」におちいりやすいので、精神的に自立していることは大切なことだと思います。

 ですが、女性の場合は「自立心」が強すぎると、他人に頼ることをしなくなるので、人から(特に男性から)の好意や関心を受けにくくなってしまいます。

 ときには男性に甘えたり、ちょっとした頼み事をしてみると、男性の好意や関心を得られやすくなると思います。

 それは、男性が潜在的にいだいている、
「守ってあげたい」
「頼られたい」
 という欲求を満たしてあげるチャンスを、彼に与えることになるからです。

 僕だって、女性に慕(した)われると素直にうれしいもんなぁ(笑

 もしかすると、ほどほどのワガママは、男性に対する女性の「やさしさ」なのかもしれませんね。


このエッセイは、本条克明が以前に運営していた『本条克明ライターズブログ』というサイトに掲載した記事を改訂したものです。

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