※今回は恋愛に関するエッセイです。
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以前、ネットで調べものをしていたときに、
「恋人がとつぜん、幼児ことばを使いだした」
という悩み相談の記事を目にしました。
恋人がとつぜん幼児ことばや赤ちゃんことばを使いだすのは、けっしてめずらしいことではありません。
ですので、この悩み相談そのものには驚かなかったのですが――
驚いたのは、この相談に対する回答として、
「男はみんなマザコンであり、それが男性心理である」
といった内容のことを、堂々と答えていたことです。
これには本当にびっくりしました。
もちろん、この回答は正しくありません。
この心理には、『愛』におけるもっと意義深い理由があります。
今回は、
「恋人が幼児ことばや赤ちゃんことばを使いだして、とまどっている」
という人のために、この心理についての真実をお話しいたします。
幼児ことばと『愛』の関係
「男はみんなマザコンである」
という答えは、正しくありません。
そもそも、
「彼女(女性)のほうから、幼児ことばや赤ちゃんことばを使いだす」
というケースもあるのですから、「男はマザコンだから」という論理は成り立ちませんよね。
実際、僕も若いころに経験しています。
当時、交際していた女性がとつぜん幼児ことばを使いだし、そのときは何が起こったのか理解できずに、とまどったことをおぼえています。
恋人が幼児ことばや赤ちゃん言葉を使いだす本当の理由
なぜ、恋人がとつぜん幼児ことばや赤ちゃんことばを使いだすのか?
その理由(深層心理)について、20世紀インドの神秘家、OSHO(オショー)という人物が、完璧な説明をしています。
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カップルを見てごらん――
そのふるまいを、そのコミュニケーションを……。
そのふるまいを、そのコミュニケーションを……。
非理性的になっている。
ふたりは幼児の言葉を使い始める。
――<中略>――
なぜ幼児語に陥るのか。
なぜなら、それこそが最初の愛の体験――母親との愛の体験だったからだ。
あなたが最初に発した言葉は愛の言葉だった。
それは頭指向ではなかった。
ハートからきていた。
感性のものだった。
質が違っていた。
だから、たとえ発達した言語を使っていたとしても、恋をすれば再び退行する――
幼児語へと退行する。
出典:『タントラ秘宝の書 第三巻 第三の眼 ヴィギャン・バイラヴ・タントラ』 和尚(OSHO):講話 スワミ・アドヴァイト・パルヴァ(田中ぱるば):訳 和尚サクシン瞑想センター:編集 市民出版社(1994年)
(29番目の技法「自らを捧げる」より引用)
※ネット上で読みやすいように改行を増やす、空白行を入れるなどして体裁(文章の見た目)を整えてあります。
※一部文字を拡張しています。
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恋人が幼児ことばや赤ちゃんことばを使いだす本当の理由――
それは、「愛の記憶」が呼び起こされたからです。
彼(もしくは彼女)は、あなたと親密な関係になったことで、心(ハート)の奥深いところから『愛』の感情がわきあがってきました。
そしてその『愛』は、「過去に愛情で満ちあふれていたときの記憶」――すなわち、
「幼児期の体験」
を思いださせます。
このことは、恋人の深層心理(潜在意識)において起こります。
ですので、本人も「なんで幼児ことばを使っているのか」、それがわかっていないこともあります。
ですが、真実はOSHOが言っているとおりです。
「最初の愛の体験――親との愛の体験」
それが『愛』の感情と一緒に呼び起こされたため、当時(幼児期)のことばを使いだすのです。
マザコンという回答が正しくない理由
「親(母親)との愛の体験」が原因だというのなら、「男はマザコン」という答えも合ってるんじゃないのか?
そのように思った人もいるかもしれませんが……
この答えは、とんでもないまちがいをおかしています。
それは、「男はマザコン」という言葉で、彼(恋人)のことを否定していることです。
先ほどから言っているとおり、恋人が幼児ことばを使うのは、「最初の愛の体験」を潜在意識レベルで思いだしたからです。
そしてそれは、彼(もしくは彼女)の心に、『愛』の感情がわきあがっている証拠でもあります。
彼(もしくは彼女)はいま、
あなたに恋をして、
あなたと親しくなり、
あなたの存在によって『愛』の感情がわきあがっています
あなたに恋をして、
あなたと親しくなり、
あなたの存在によって『愛』の感情がわきあがっています
これのどこに否定する要素があるのでしょう?
あなたに恋をして『愛』がわきあがってくることの何がいけないというのでしょう?
まさか、『愛』を「わるいもの」とでも言うつもりなのでしょうか。
もう一度、この心理の真実を言います。
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恋人が幼児ことばや赤ちゃんことばを使うのは、最初の『愛』の記憶が呼び起こされたから
そしてそれは、あなたの存在によって、あなたの恋人のハートから『愛』があふれだしている証である
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このことをよく理解して、心に刻みつけておいてください。
もっともやさしい対処のしかた
最後に、
「恋人が幼児ことばを使いだしたときの対処のしかた」
について、僕からのアドバイスを。
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僕の経験から言って、
「自分も幼児ことばになってあげる」
というのが、いちばん良いと思います。
「自分も幼児ことばになってあげる」
というのが、いちばん良いと思います。
ただし、ひとつだけ心がけてください。
それは、
「大人が子供に接するような気持ちで、幼児ことばを使う」
ということです。
あなたも一緒になって『幼児』になりきってしまうと、相互的に習慣化してしまうため、やめたくてもやめられなくなります。
あなたのほうは、あくまでも『大人』として、幼児ことばを使うようにしましょう。
やがて、ときがくれば(幼児期の追体験を充分に満たせば)、あなたの恋人は幼児ことばを使わなくなるはずです。
それまでは、彼(もしくは彼女)の幼児ことばに付き合ってあげるのが、もっともやさしい対処のしかただと思います。
あくまでも『大人』の視点でね。
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次に良い対処法は、
「彼(もしくは彼女)が幼児ことばを使うのを、やめさせない」
ということです。
幼児ことばを使っているときの彼(もしくは彼女)は、どんな様子ですか?
その声や表情は、とても幸せそうではありませんか?
彼(もしくは彼女)が幸せそうなのは、あなたの存在によってハートから愛があふれだしているからです。
その愛、その幸せをうばったりせずに、そのままにしてあげましょう。
やがて、ときがくれば(幼児期の追体験を充分に満たせば)、あなたの恋人は幼児ことばを使わなくなるはずです。
それまでは、彼(もしくは彼女)のハートが導くままに、幼児ことばを使わせてあげるのが賢明な対処のしかただと思います。
あなたの恋人の幸せそうな姿――
それをもたらしたのは、ほかならぬ「あなた」なのですから。
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『愛』を肯定するのとおなじように、
やさしく、好意的に、あなたの恋人を受けいれてあげてください。
やさしく、好意的に、あなたの恋人を受けいれてあげてください。
※このエッセイは、本条克明が以前に運営していた『本条克明ライターズブログ』というサイトに掲載した記事を改訂したものです。
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2018年11月7日 文章表現を一部改訂。
2019年11月27日 文章表現を一部改訂。
2019年12月16日 文章表現を一部改訂。