※今回は恋愛に関するエッセイです。
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僕は以前に、
「『恋』がどういうものなのか、わからない」
という人がおもいのほかたくさんいることを知って、驚いたことがあります。
『恋』がどういうものかについては、残念ながら言葉では教えることができません。
『恋』は「する(doing)」ではなく、その状態に「なる、在る(being)」という性質のものだからです。
もし「するもの」であり、それが「行為」であるのなら、やり方をお教えすることもできるのですが――
やり方をお教えすることができないので、あくまでも「僕の場合は」というお話になってしまうのですが、たくさんの恋愛をして、
「男の恋愛って、突きつめるとこういうことだったんだ」
と、ようやく気づいたことでもあります。
まだ『恋』を知らない人も、いま『恋』をしている人も、男性も女性も、ぜひ参考になさってみてください。
男性の恋のプロセスには、いつでも彼女の……
男性が、「恋かもしれない」と思うとき
きみといると、すごく楽しい。
ある日、そんな感情をいだくようになっている自分に気づく。
知り合いの女性のひとりだったのに、気がつくと僕のなかで、少しだけ特別な存在になっている。
たぶん、一緒にいるときに、いっぱい笑ってくれるからだと思う。
何か楽しいことをしているわけでもないのに、きみといると「楽しい」って感じてしまう。
僕が笑いかけると、笑い返してくれる――
そんな単純なことが、すごく嬉(うれ)しく思える。
そして、きみがときどき見せるはにかんだような笑顔を見ると、ドキッととする。
「もしかして、俺のこと好きなのかな……」
自意識過剰だと思いつつも、つい、そんなことを考えてしまうんだ。
男性が、この想いが恋だと気づくとき
気がつくと、いつもきみのことを目で追うようになっていた。
きみが見せる仕草(しぐさ)や、表情のひとつひとつがすごく愛(いと)しくて、ずっと見守っていたいって思うんだ。
そして、きみが笑ってくれると、すごく嬉しい。
満面の笑顔じゃなくてもいい。
僕に向けられた笑顔だったら、微笑んでくれるだけで、すごく幸せな気持ちになる。
そして、僕は気づく。
「俺、彼女のことが、好きなんだ……」
男性が、会いたくて、切なくて、苦しくなるとき
彼女に『恋』をしていることを認めたその日から、毎日が切なくて、苦しくなった。
会えない時間が、とても切ない。
いつ、どこにいても、きみのことが頭からはなれない。
無意識のうちに、目がきみのことを探してしまう。
少し髪型が似ている人や、背格好が似ている人を見ただけで、「きみがいた」と思って、ドキッとする。
こんなところにいるはずがないのに、でも、ドキッとする。
ただの偶然でいいから、「会いたい」と願っている自分がいる。
たとえ声がかけられなかったとしても、きみの姿を見られるだけでいい。
それだけでいいから、会いたいと願ってしまう……。
男性が、想いを伝える決心をするとき
この『想い』を胸に秘めたままだと、あまりにも切なくて、苦しすぎる。
だから、思い切って『想い』を伝えることにした。
たとえ断られたとしても、それはそれでしかたがない。
こんなにも切ない想いをしているよりは、いっそのことフラれてしまったほうがずっとマシだ。
そして僕は、意を決して告白する……。
男性が、愛する喜びに気づくとき
きみと交際するようになってから、きみのことがますます好きになった。
告白する前は、きみへの『想い』はずっと秘めていなければいけなかったけど、でもいまは、思う存分きみに愛情をそそぐことができる。
きみが僕の愛情を受けいれてくれるから、思う存分、きみを好きでいることができる。
好きな人のことを、なんの引け目もなく好きでいられる――
それがこんなにも嬉しいことだったなんて、思いもしなかった。
この世に、きみより綺麗(きれい)な人はたくさんいる。
でも僕は、きみ以外には考えられないんだ。
「美人は三日で飽(あ)きる」って言うけど、きみの笑顔を見飽きることなんて、絶対にないと思う。
きみの笑った顔が、何よりも好き。
きみの笑顔のためなら、なんだってできる。
きみを守りたい――
きみを大切にしたい――
きみを大切にしたい――
ずっときみに、微笑んでいてほしいから。
男性が、絶望的な気持ちになるとき
けんかをしたときには、絶望的な気持ちになる。
きみが、笑ってくれないから……。
機嫌をなおしてほしくて、いろいろなことを試みたけど、でも、僕が何をしても、僕が何を言っても、きみはかえって不機嫌になってしまう。
「俺たちもう、終わりなのかな……」
おもわず、そんな弱気な言葉が口からもれてしまう。
きみが、笑ってくれないから……。
僕がどんなにがんばっても、きみが笑ってくれないから……。
男性が、幸せを実感するとき
きみと仲直りできたときには、ほっとする。
そして、きみの笑顔を見たときに、言いようのない嬉しさが込みあげてくるんだ。
「俺たちは、これからもずっとやっていける」
「どんな困難も、ふたりなら乗り越えていける」
そんな前向きな気持ちになる。
きみが、また笑ってくれたから――
そして、きみと一緒に笑い合えたときに、実感するんだ。
僕の探し求めていたもの、僕がずっと欲しがっていた『幸せ』が、いま、ここにあるって――
この『想い』を基準にしているかぎり、男性が恋を見誤ることはない
男性の恋愛は、
「きみに笑ってほしい」
「きみが微笑んでくれると嬉しい」
突きつめると、それ以外にはないと思います。
これは僕の個人的な恋愛観なので賛否両論かもしれませんが、僕は若い頃、自己顕示欲や所有欲などのよこしまな心が邪魔をして、とても『恋』とは呼べないようなひどい恋愛をしていました。
たくさんの失敗をしながら、やっと気づいたことです。
「きみに笑ってほしい」
「きみが微笑んでくれると嬉しい」
この『想い』を基準にしているかぎり、男性が『恋』を見誤ることはないと思います。
彼女に笑っていてほしいですか?
彼女が微笑んでくれると嬉しいですか?
彼女の笑顔は、特別だと感じていますか?
彼女が微笑んでくれると嬉しいですか?
彼女の笑顔は、特別だと感じていますか?
だとしたら、まちがいありません。
あなたは彼女に、恋してる――
※このエッセイは、本条克明が以前に運営していた『本条克明ライターズブログ』というサイトに掲載した記事を改訂したものです。
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