2018年11月9日金曜日

男性の恋愛は、突きつめると……


今回は恋愛に関するエッセイです。

***

 僕は以前に、
「『恋』がどういうものなのか、わからない」
 という人がおもいのほかたくさんいることを知って、驚いたことがあります。


『恋』がどういうものかについては、残念ながら言葉では教えることができません。
『恋』は「する(doing)」ではなく、その状態に「なる、在る(being)」という性質のものだからです。
 もし「するもの」であり、それが「行為」であるのなら、やり方をお教えすることもできるのですが――

 やり方をお教えすることができないので、あくまでも「僕の場合は」というお話になってしまうのですが、たくさんの恋愛をして、
「男の恋愛って、突きつめるとこういうことだったんだ」
 と、ようやく気づいたことでもあります。

 まだ『恋』を知らない人も、いま『恋』をしている人も、男性も女性も、ぜひ参考になさってみてください。


男性の恋のプロセスには、いつでも彼女の……


男性が、「恋かもしれない」と思うとき


 きみといると、すごく楽しい。
 ある日、そんな感情をいだくようになっている自分に気づく。

 知り合いの女性のひとりだったのに、気がつくと僕のなかで、少しだけ特別な存在になっている。

 たぶん、一緒にいるときに、いっぱい笑ってくれるからだと思う。

 何か楽しいことをしているわけでもないのに、きみといると「楽しい」って感じてしまう。

 僕が笑いかけると、笑い返してくれる――
 そんな単純なことが、すごく嬉(うれ)しく思える。
 そして、きみがときどき見せるはにかんだような笑顔を見ると、ドキッととする。

「もしかして、俺のこと好きなのかな……」
 自意識過剰だと思いつつも、つい、そんなことを考えてしまうんだ。


男性が、この想いが恋だと気づくとき


 気がつくと、いつもきみのことを目で追うようになっていた。
 きみが見せる仕草(しぐさ)や、表情のひとつひとつがすごく愛(いと)しくて、ずっと見守っていたいって思うんだ。

 そして、きみが笑ってくれると、すごく嬉しい。
 満面の笑顔じゃなくてもいい。
 僕に向けられた笑顔だったら、微笑んでくれるだけで、すごく幸せな気持ちになる。

 そして、僕は気づく。
「俺、彼女のことが、好きなんだ……」


男性が、会いたくて、切なくて、苦しくなるとき


 彼女に『恋』をしていることを認めたその日から、毎日が切なくて、苦しくなった。
 会えない時間が、とても切ない。
 いつ、どこにいても、きみのことが頭からはなれない。

 無意識のうちに、目がきみのことを探してしまう。
 少し髪型が似ている人や、背格好が似ている人を見ただけで、「きみがいた」と思って、ドキッとする。
 こんなところにいるはずがないのに、でも、ドキッとする。

 ただの偶然でいいから、「会いたい」と願っている自分がいる。
 たとえ声がかけられなかったとしても、きみの姿を見られるだけでいい。
 それだけでいいから、会いたいと願ってしまう……。


男性が、想いを伝える決心をするとき


 この『想い』を胸に秘めたままだと、あまりにも切なくて、苦しすぎる。
 だから、思い切って『想い』を伝えることにした。

 たとえ断られたとしても、それはそれでしかたがない。
 こんなにも切ない想いをしているよりは、いっそのことフラれてしまったほうがずっとマシだ。

 そして僕は、意を決して告白する……。


男性が、愛する喜びに気づくとき


 きみと交際するようになってから、きみのことがますます好きになった。

 告白する前は、きみへの『想い』はずっと秘めていなければいけなかったけど、でもいまは、思う存分きみに愛情をそそぐことができる。
 きみが僕の愛情を受けいれてくれるから、思う存分、きみを好きでいることができる。

好きな人のことを、なんの引け目もなく好きでいられる――

 それがこんなにも嬉しいことだったなんて、思いもしなかった。

 この世に、きみより綺麗(きれい)な人はたくさんいる。
 でも僕は、きみ以外には考えられないんだ。
「美人は三日で飽(あ)きる」って言うけど、きみの笑顔を見飽きることなんて、絶対にないと思う。

 きみの笑った顔が、何よりも好き。
 きみの笑顔のためなら、なんだってできる。

きみを守りたい――
きみを大切にしたい――

 ずっときみに、微笑んでいてほしいから。


男性が、絶望的な気持ちになるとき


 けんかをしたときには、絶望的な気持ちになる。
 きみが、笑ってくれないから……。

 機嫌をなおしてほしくて、いろいろなことを試みたけど、でも、僕が何をしても、僕が何を言っても、きみはかえって不機嫌になってしまう。

「俺たちもう、終わりなのかな……」
 おもわず、そんな弱気な言葉が口からもれてしまう。

 きみが、笑ってくれないから……。
 僕がどんなにがんばっても、きみが笑ってくれないから……。


男性が、幸せを実感するとき


 きみと仲直りできたときには、ほっとする。
 そして、きみの笑顔を見たときに、言いようのない嬉しさが込みあげてくるんだ。

「俺たちは、これからもずっとやっていける」
「どんな困難も、ふたりなら乗り越えていける」
 そんな前向きな気持ちになる。

 きみが、また笑ってくれたから――

 そして、きみと一緒に笑い合えたときに、実感するんだ。
 僕の探し求めていたもの、僕がずっと欲しがっていた『幸せ』が、いま、ここにあるって――


この『想い』を基準にしているかぎり、男性が恋を見誤ることはない


 男性の恋愛は、
「きみに笑ってほしい」
「きみが微笑んでくれると嬉しい」
 突きつめると、それ以外にはないと思います。

 これは僕の個人的な恋愛観なので賛否両論かもしれませんが、僕は若い頃、自己顕示欲や所有欲などのよこしまな心が邪魔をして、とても『恋』とは呼べないようなひどい恋愛をしていました。
 たくさんの失敗をしながら、やっと気づいたことです。


「きみに笑ってほしい」
「きみが微笑んでくれると嬉しい」

 この『想い』を基準にしているかぎり、男性が『恋』を見誤ることはないと思います。

彼女に笑っていてほしいですか?
彼女が微笑んでくれると嬉しいですか?
彼女の笑顔は、特別だと感じていますか?

 だとしたら、まちがいありません。
 あなたは彼女に、恋してる――



このエッセイは、本条克明が以前に運営していた『本条克明ライターズブログ』というサイトに掲載した記事を改訂したものです。

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