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1 メールや電話をしなくなる男性心理(その一)
放課後の空き教室――
恋愛の達人・須藤賢策と
相談者の相内知子さん(仮名)は、
机をむかい合わせにし、
面談をするかっこうで座席に着いている。
恋愛の達人・須藤賢策と
相談者の相内知子さん(仮名)は、
机をむかい合わせにし、
面談をするかっこうで座席に着いている。
「なるほど……。
3つ年上の彼と付き合って半年、付き合う前は毎日のようにメールや電話がきたのに、付き合いはじめたとたんに彼からの連絡がこなくなった――ということだね?」
「はい」
「じつは、この問題は意外と根が深い。というのも、男性脳の性質に関係していることだからね」
「男性脳、ですか?」
「そう、女性には不可解に思える彼の行動は、男性ならではの心理作用がからんでいるんだよ。だから、この悩みを解消するには、男性心理を正しく理解する必要がある。
いまからその男性心理について説明するから、よく聞いて、しっかりと理解してほしいな」
「はい」
***
「男性が女性にメールや電話をしなくなる理由はいくつかある。まずは、ネガティブ――否定的な理由から説明しよう。
じつは、男性というのは、もうこれ以上その女性と付き合う気がない場合、意図的(いとてき)に連絡を途絶(とだ)えさせることがある。
男性は、メールや電話をやめれば、『きみとはもうおわりにしたい』という意思表示になると無意識レベルで感じているからね。
男性というのは、拒絶したい場合、はっきりと言葉にして伝えるのをためらうものなんだ。
何もしないこと、ほったらかしておくこと、無視していることが、拒絶の意思表示として相手に伝わると思い込んでいるんだね。
だから、もうその女性との関係をおわらせたい場合、男性は意図的に連絡をいれなくなることがよくあるんだよ」
「……そんなの、ひどいです! 何も連絡をせずに、彼女にさんざんさびしい思いをさせておいて、そのままおわりにしようなんてずるいと思います。おわりにしたいのなら、はっきりとそう言うべきだと思います」
「たしかにそうだよね。
でもね、男性というのは『連絡をやめる』というやり方のほうが正しいと、潜在的に感じているものなんだよ。
男性は、はっきりと言葉にして拒絶したら、相手をひどく傷つけてしまうと直感的に思っている。だから、意図的に連絡を途絶えさせ、相手との距離をおき、自然消滅のようなかたちで断(ことわ)るのがより優(やさ)しいおわらせ方だと、潜在的に思い込んでいるんだ」
「そうでしょうか……何もしないで無視しつづけるほうが、相手を傷つけると思いますけど……」
「そうだね、そのとおりだよ。
でも、男性の多くはそれがわかっていない。そして、男性の価値観どおりに行動して、悪気(わるぎ)がないまま女性を傷つけてしまうんだ」
「…………」
「とはいえ、この理由は、相内さんのケースには当てはまらないんだけどね」
「……そうなんですか?」
「相内さんは、彼と一緒にいるときはとても仲良くできていると言っていたよね。ということは、彼は相内さんと別れようとしているわけじゃない。それは断言できるよね」
「よかった……それを聞いて、ほっとしました」
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