2018年12月11日火曜日

『幸せな恋愛』のイメージ法 〈講義〉

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『幸せな恋愛』のイメージ法 〈講義〉



「理解も深まったようだし、それじゃ、さっそくやってみようか」

「えっ!? やってみようかって言われても……」

「簡単だよ、『ラブラブな恋愛をしている自分』をイメージすればいいんだ」

「ラブラブな恋愛って……急にそんなことを言われても、イメージできないです」

「しかたないなぁ……それじゃ、僕が誘導してあげるから、僕の言うとおりにイメージして」

「はい」

幸坂美冬は目をとじた。

賢策は、
ゆったりとした穏(おだ)やかな口調で、
イメージを誘導する。

「……いま、きみは、大好きな男性と一緒にいる――頭のなかでイメージして」

「……うまくイメージできないです。わたし、いま好きな人とかいないから、相手の男性がはっきりと思い浮かびません」

「それでかまわないよ。
 相手の姿が鮮明である必要はない。輪郭(りんかく)のはっきりしない影のような姿でもかまわない。
 いや、むしろそのほうが好ましいと言えるんだ」

「そうなんですか?」

「いいかい。肝心(かんじん)なのはね、幸坂、きみ自身のイメージなんだよ」

「わたし、ですか……?」

「そう、自分を重点的にイメージするんだよ。
 大好きな人といるときの自分の姿、そのときの気持ち、感情――それに意識の焦点をあててイメージしてごらん」

「……はい」

「それじゃ、つづけるよ」

賢策は、
ゆったりとした口調で、
イメージを誘導する。

「その大好きな男性と、きみは、交際している……まだ付き合いはじめたばかりの初々(ういうい)しいカップルだ……
 きみと、彼は、とても仲がいい……
 まわりの人たちが羨(うらや)ましいって思うくらいに、とても仲がいい」

「…………」

「いま、きみと彼は、目を見つめ合っている……
 とても、とても、愛(いと)しそうな目で、お互いに、目を見つめ合っている……」

「なんだか、恥ずかしいです……」

「でも、心地よいよね?」

「はい……恥ずかしいけど、嬉(うれ)しい……」

「それじゃ、つづけるよ。しっかりイメージして」

「はい」

「きみは、大好きな彼と、目を見つめ合っている……
 彼は、きみの目を見つめたまま、やさしい笑みを浮かべている……
 その笑顔を見たきみは、なんだかとても嬉しい気持ちになって、自然と笑みがこぼれる……
 きみと彼は、目を見つめ合い、笑顔をむけ合っている……
 とても、とても、幸せな気持ちだ……」

目をとじたままの美冬の顔に、
はにかんだ笑みが浮かんだ。
恥ずかしそうではあるが、
すごく幸せそうな笑顔だった。

「……いいだろう。それじゃ、ゆっくりと目をあけて」

「え……もう終わりですか?」

「あまりつづけると、僕の恋愛観を幸坂に押しつけることになってしまうからね。
 ここから先は、幸坂が自分でイメージしないとね」

「はい、がんばってやってみます」

「いいね、前向きだね。
 でもがんばる必要はないよ。楽しいことをイメージするんだからね。楽な気持ちで『快(かい)』を感じながらやればいいんだよ」

「はい」

「そして、幸せな恋愛のヴィジョンをしっかりともつようにね。
 マンガや、ドラマや、映画のなかのシーンにいいヴィジョンが見つかったら、それをくり返し観るのもいいよね。ヒロインに自分を投影しながら観るのが秘訣だよ」

「はい。好きなマンガや映画を見直して、胸がキュンとするようなシーンをさがしてみます」

「次回までに、『幸せな恋愛をしている未来像』をもち、そのヴィジョンをくり返しイメージすること。
 特に、幸せな恋愛をしている自分を重点的にイメージすること。いいね?」

「はい、がんばりま――って、がんばる必要ないんでしたね」

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