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「いま、きみは、大好きな彼と一緒にいる――イメージして」
「…………」
「いま、きみと、彼は、目を見つめ合っている……
とても、とても、愛(いと)しそうな目で、お互いに、目を見つめ合っている……」
「…………」
「ところが、きみは、大好きな彼と喧嘩(けんか)をしてしまった……
きみは、何もわるくない……わるいのは、彼のほうだ……」
「……………………」
「きみは、ひどい仕打ちを受けた……
きみは、彼に対してとても憤(いきどお)っている……
ゆるせない! と思うほどに、きみは憤っている……」
美冬は目をとじたまま眉をひそめた。
とても不快な表情だ。
とても不快な表情だ。
「その彼がいま、きみの前に立っている……
とても、きまりわるそうな様子だ……きみに対して、申し訳ないと思う気持ちでいっぱいのようだ……」
「…………」
「彼は、緊張した面持(おもも)ちで、きみに言う。『ごめんね』と……」
「…………」
「彼は、きみに、『ゆるしてくれる?』と尋ねる……
きみは、どうする?」
「……もう二度としないって約束してくれるのなら、ゆるします」
「……きみのその言葉を聞いて、彼は、ほっとした笑みを浮かべている……
きみにゆるしてもらえたこと、きみと仲直りできたことが、とても嬉しいようだ……」
「…………」
「ここまで、イメージできたかい?」
「……はい」
「いま、どんな気分?」
「よかったです、今回もまた仲直りできて……すごく嬉しいです」
美冬の口もとがほころび、
笑みがこぼれた。
笑みがこぼれた。
賢策の顔にも、
満足げな笑みがこぼれる。
満足げな笑みがこぼれる。
「オーケー。それじゃ、ゆっくりと目をあけて」
「はい」
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