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自分の容姿に自信がない 〈美冬の質問〉
「それじゃ、今回はこのへんで終わりにしよう。
何か質問はあるかい?」
「それじゃ、ひとつだけいいですか?」
「なんだい?」
「今日は、先生から『自信』に関するお話やアドバイスをたくさんしていただきました。
でも、わたしはどうしても自分の容姿に自信がもてません。どうすれば自分の容姿に自信がもてるようになりますか?」
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「この世の中、完璧な顔をしている人なんていない。完璧なスタイルの人もいない。
だから、自分の容姿に対してはどこかしら不満があるもの――絶対的な自信をもつことなんてできないんだ。この僕でさえもね」
「…………」
「でも、『恋愛』という観点から言えば、容姿が完璧である必要なんてないんだ。
肝心(かんじん)なのは、恋人や、意中(いちゅう)の人に、自分の容姿が受けいれられ、愛されていることなんだからね」
「……たしかに、先生の言うとおりですね」
「それじゃ、異性に受けいれられ、愛される容姿とはどういったものだろう?
まずは服装から考えてみようか。
どんな服装をすれば、彼に好かれると思う?」
「えっと……セクシーなやつとかですか?」
「ふふ、そうだね。セクシーな衣装は男性に好かれやすいよね。
じゃあ、どうしてセクシーな服装は、男性に好かれるんだと思う?」
「それは……男の人って、エッチだから……」
「ふふふっ、たしかにそれも一理あるよね。
でもね、本当の理由は、『セクシーな衣装には、女らしさが感じられるから』なんだよ」
「女らしさ……」
「男性はね、なんだかんだ言っても最終的には『女性らしい女性』に惹(ひ)かれるものなんだ。
だから、女性が『女らしい服装』をしているほど、男性は『女』として見てくれる。
これはね、心理学的データによる裏付けもあるまぎれもない真実なんだ」
「でもわたし、セクシーな格好(かっこう)とかは、ちょっと……」
「べつに露出の多い格好のことを言ってるんじゃないよ。
女性らしさを感じさせる服装――たとえば、ゆったりとしたストレート・ジーンズをはいている女性と、スカートをはいている女性がいたら、男性はどっちの女性に『女らしさ』を感じると思う?」
「それはもちろん、スカートの女性です」
「そうだよね。
つまり、そういうことだよ。女性が、女性らしい格好をしていると、それだけで男性にいい印象を与える。
もちろん、逆の場合もおなじだよね。男性は『男らしい』格好をしているほど、女性からの好感度があがりやすい。
僕らがいま着ている制服――学校の制服っていうのは、社会的に好感度が高いよね。その理由のひとつが、学校の制服というのは『男子』や『女子』を意識してデザインされているからなんだ」
「たしかに、先生の言うとおりかもしれませんね。
……わたし、卒業後は四年制の大学へ進学することになってるんですけど、大学へは私服でかようことになるから、服装のセンスがそのままわたしの印象になっちゃうんですよね。
今日、先生の話を聞いてよかったです。わたし、服装はできるだけ女らしい格好を心がけるようにします」
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