2019年1月10日木曜日

知り合ったばかりの段階で、どう相手と接すればいいのか? 〈美冬の質問〉(2)

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「それじゃ、もうひとつアドバイスをしよう。
 心理学ではね、『好意をもっている相手にはノンバーバル行動が活発になる』ということが説かれているんだ」

「ノンバーバル行動……?」

「ノンバーバルというのは、『非言語』って意味だよ。
 好きな人に対しては、相手に視線を投げかけたり、相手との距離をちぢめようとしたり――そういったノンバーバル行動が多くなるんだ」

「それはよくわかります。好きな人に対しては、自然とそうなりますよね」

「そうだね。
 だから、知り合ったばかりでまだ会話をするような関係になっていない場合は、ノンバーバル行動を解放するようにしてごらん。
 それを押しころしたりしない。

 気になってしかたがないのなら、ちらっと視線をむける――
 彼が近くにいるときは、何気(なにげ)なく一歩、彼に近づく――

 そういったノンバーバル行動は好意のあらわれだからね。よほど鈍感でないかぎり、相手は『自分に好意をもっている』ということに気づく。
 そしてその男性もまた、幸坂のことを意識しはじめるようになる。『この子、俺のことが好きなのかな』と感じたら、意識せずにはいられないからね」

「好意をさりげなく伝えるってことですね」

「そう、そのとおりだよ。
 そして、好意を伝えるノンバーバルとしてもっとも強烈なのは、やっぱり表情なんだ」

「表情……」

「前回の話とかぶるようだけど、表情は言葉よりも『想い』や『感情』を伝える力があるんだ。
 だから、好意的な表情をしていれば、相手に好意をいだいていることがほぼ確実に伝わる」

「好意的な表情と言うと、やっぱり……」

「そう、笑顔だよ。
 何も不自然に笑いかけたりする必要はないんだ。ほんの少し微笑むだけでいい。
 というより、表情をムリに押しころしたりしなければ、それでいいんだよ。好きな人といるときは自然と顔がほころぶものだからね。
 さらに言うと、彼と目が合ったときに微笑むことができたら、なおすばらしいよね」

「目が合ったときに微笑む……わたしにはムリそうです。好きな人と目が合ったりしたら、反射的に目をそむけてしまうと思います……」

「それでいいんだよ。知り合ったばかりの段階で目を見つめ合うのはむずかしいからね。目をそらしたり、顔をそむけたりしてもかまわない。
 ただ、目をそらす直前、あるいは目をそらす瞬間――そのタイミングでちょっとだけ微笑むと、それは強烈なノンバーバル行動になる。

 目がよく合う、微笑んでくれる――
 このふたつがそろうと、男性は『俺に好意をいだいてくれてる』と感じるものなんだ。
 そうなれば、彼とだいぶ打ちとけやすくなるよね」

「目をそむけるときに、ちょっとだけ微笑む――それぐらいなら、わたしにもできるかもしれません。
 ……いえ、きっとできます!」


「ほかにまだ、質問はあるかい?」

「いえ、ありません」

「オーケー、それじゃ今日はここまでにしよう。
 来週、あともう1回だけ講義をするよ。次が最終回だ」

「はい! 今日はありがとうございました!」

「今日の話をよく思い返して、しっかりと復習しておくようにね」

「はい!」

美冬の顔に笑みがひろがった。
いい顔で笑えるようになってきた。



 こうして、3回目の恋愛講義は終了した。
 次回は、恋愛講義の最終回だ。

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