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「でも、最初にいい印象からはいると、そのあとにちょっとした失敗とかで一気に好感度がさがったりしませんか? さっき先生が言った『ロス効果』っていうのが起こって」
「それはだいじょうぶだよ。
第一印象ってのはね、幸坂が思ってるよりもずっと強烈なんだ。実験によって『人は第一印象をなかなか変えようとしない傾向がある』ということも確認されているしね。
心理学用語で『初頭効果(しょとう・こうか)』って言うんだけど、すでにいい印象を与えている場合は、ちょっとぐらいイメージ・ダウンになるようなことがあっても好感度はさがらないものなんだよ」
「なるほど……いまのお話と、さっきの『熟知性の原則』のお話を総合すると、
はじめから、できるだけ相手にいい印象を与えるように心がける――
そのあとは、会えば会うほど好感度があがるのだから、なるべくたくさん会うようにする――
ということですね?」
「そうだね、そのとおりだよ。よく理解してるじゃないか。さすが僕の教え子だよ」
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「今回、この話をしたのはね、1回目の講義で『理想の恋愛のヴィジョンをもつ』という話をしたときに、
『マンガや、ドラマや、映画のなかのシーンにいいヴィジョンが見つかったら、それをくり返し観るのもいい』
とアドバイスしたから、そのことで幸坂がつまずかないようにするためなんだ。
マンガや映画などの物語はイメージを潜在化させるのに役立つけど、現実の恋愛でやったら逆効果になるようなものもある。
だから、念のためにこの話をしておいたんだよ」
「もうだいじょうぶです。いまのお話でよくわかりましたから。
ツンデレは絶対にやりません。
気になる人がいたら、最初から全開(ぜんかい)でいきますっ!」
「ふふっ、そうだね。それがいいよ」
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