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3ヶ月後……
6月 (文芸部の部室)
相内知子(あいうち ともこ)は、机の上の携帯を見つめていた。
室内には、知子のほかに誰もいない。
文芸部の部室――
壁際(かべぎわ)に本棚が立ちならび、文芸作品や部誌のバックナンバーがおさめられている。
部屋の中央には机が寄せ集められており、会議や談話ができるかたちになっている。
その机のひとつに知子は着席している。
以前は、いまぐらいの時間になると、毎日のように佑介(ゆうすけ)からのメールか電話がきていた。
しかし、知子の携帯は鳴らない。
「佑くんとはうまくいっているはずなのに……どうして……」
知子は、暗い面持(おもも)ちで携帯に視線を落としている。
佑介とは、昨年の夏休みにファミレスのバイトで知り合った。
佑介は知子より3つ年上で、映像関係の専門学校にかよっている。
バイトをはじめた時期がおなじで、研修はいつも一緒に受けた。佑介とは、出会ったころから接する機会が多かった。
佑介は知子より3つ年上で、映像関係の専門学校にかよっている。
バイトをはじめた時期がおなじで、研修はいつも一緒に受けた。佑介とは、出会ったころから接する機会が多かった。
佑介は、おそらく最初から知子に気があったのだろう。積極的にアプローチしてきたのは彼のほうだった。
ふたりの距離は少しずつ近くなっていった。
そして4月――佑介はついに「俺と付き合ってください」の言葉を口にした。
知子はもちろん、「はい」と応(こた)えた。
そして、その日からふたりは恋人同士になった。
ところが、正式に付き合うようになったとたん、佑介に変化があらわれた。
以前は毎日のように彼からメールや電話がきていたのに、それが極端(きょくたん)に少なくなったのだ。
そしていまでは、まったくと言っていいほど佑介からのメールや電話はこなくなっている。
佑介とは、週に2日、バイトで顔を合わせる。
そのときはとても感じがよくて、積極的に話しかけてくれる。人目をさけて戯(たわむ)れ合ったりもする。
デートをしたときもそうだ。誰が見ても仲のいい恋人同士にしか見えないくらい、楽しくて幸せなときをすごせている。
会っているときはあんなにも好意的に接してくれるのに、ひとたびはなれてしまうと、まるで知子に関心がなくなってしまったかのように連絡がこなくなる。
あの好意ややさしさが嘘(うそ)であったかのように、連絡がまったくこなくなる。
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