2019年1月3日木曜日

王道 〈講義〉(2)

**********

「いま挙げた『うまくいく恋愛をする人たち』には共通点がある。
 それは、『まだ恋人同士になる前から、あたかもすでに恋人であるかのような気持ちと態度で異性と接している』ということなんだ。
 これができる人は異性に恋愛感情をいだかれるので、恋が成就しやすくなるんだよ」

「…………」

「このような人たちが異性に好かれる理由は、すでに恋人であるかのように振る舞うことで、『仲のいい恋人同士になったときのイメージ』を相手に伝えているからなんだ」

「………………」

「逆に、うまくいかない恋愛をする人は、あせったり、必死になったり、嫉妬(しっと)したり、『私なんかじゃ』と自己否定感にとらわれたりすることで、あせり、不安、嫉妬、否定感――そういったネガティブなイメージばかりを相手に伝えてしまう。
 これじゃ相手は『この人と仲のいい恋人同士になる』というイメージをいだくことはできないよね。

 潜在意識はイメージ思考なんだ。恋人同士になったときのイメージがいだけないのであれば、相手は潜在意識レベルで『この人はちがう』と感じてしまう。
 これじゃ恋愛を成就させるのは容易じゃないよね」

「……………………」

「うまくいく恋愛をする人たちというのは、本人にその自覚があるか否(いな)かに関係なく、『私と仲のいい恋人同士になったときのイメージ』を態度や言動で上手(じょうず)に伝えているんだよ。
 相手は、『この人と仲のいい恋人同士になったら……』というイメージを体験的に受けとるから、『きっとこの人だ!』と直感する。
 だから、こういう人たちの恋愛は、高い確率で成就するんだよ」

「……………………………」

「どうした、幸坂? さっきから黙りこんでいるけど」

「あ、いえ……ちょっと予想外な内容だったから、言葉もなくて……」

「たしかに、このことを説く人はあまりいないからね。
 でもこれは、夢や目標を達成する方法として、もっとも理にかなった、もっとも冴(さ)えたやり方なんだ」

「あ、でも、ひとつ気になることが……」

「なんだい?」

 続きを読む