2019年1月6日日曜日

「ありがとう」のイメージ法 〈講義〉(1)

**********

「ありがとう」のイメージ法 〈講義〉



「それじゃ、今日のイメージ法にはいろうか」

「まだイメージ法をやるんですか? 前回、自信獲得法の後半をやったので、もう終わりなのかと思ってました」

「そうだね。自信獲得法としては、前回で完結だよ。
 でもね、あともう1回だけイメージ法をやるよ。さっき話した『恋人のように振る舞う』と関連していることだしね。
 もし『王道』の実践(じっせん)のしかたがわからなくなったときは、このイメージがおおいに役立つんだ」

「そうなんですか? それ、ぜひ教わりたいです」

「いいね、前向きだね。
 それじゃ、また僕が誘導するから、僕の言うとおりにイメージして」

「はい」



幸坂美冬は目をとじた。

賢策は、
ゆったりとした穏(おだ)やかな口調で、
イメージを誘導する。

「いま、きみは、大好きな彼と一緒にいる――頭のなかでイメージして」

「はい」

「今日、きみは、彼と会うために、いつもよりも少しお洒落(しゃれ)な服装をしてきた……
 彼は、すぐにそのことに気づき、きみにこう言う。
『その服、かわいいね。よく似合ってるよ』
 ……イメージできてるかい?」

「はい」

「どんな気分?」

「……褒(ほ)めてもらえて、嬉しいです」

「そうだね。
 きみは、彼にむかって、微笑みながら、こう応(こた)える。
『ありがとう』

 彼は、きみの嬉しそうな笑顔と、きみの『ありがとう』の言葉を嬉しく思い、ちょっと照れくさいような、それでいてどことなく誇らしげな様子で、微笑みを浮かべる……」

「…………」

 続きを読む