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「ありがとう」のイメージ法 〈講義〉
「それじゃ、今日のイメージ法にはいろうか」
「まだイメージ法をやるんですか? 前回、自信獲得法の後半をやったので、もう終わりなのかと思ってました」
「そうだね。自信獲得法としては、前回で完結だよ。
でもね、あともう1回だけイメージ法をやるよ。さっき話した『恋人のように振る舞う』と関連していることだしね。
もし『王道』の実践(じっせん)のしかたがわからなくなったときは、このイメージがおおいに役立つんだ」
「そうなんですか? それ、ぜひ教わりたいです」
「いいね、前向きだね。
それじゃ、また僕が誘導するから、僕の言うとおりにイメージして」
「はい」
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幸坂美冬は目をとじた。
賢策は、
ゆったりとした穏(おだ)やかな口調で、
イメージを誘導する。
ゆったりとした穏(おだ)やかな口調で、
イメージを誘導する。
「いま、きみは、大好きな彼と一緒にいる――頭のなかでイメージして」
「はい」
「今日、きみは、彼と会うために、いつもよりも少しお洒落(しゃれ)な服装をしてきた……
彼は、すぐにそのことに気づき、きみにこう言う。
『その服、かわいいね。よく似合ってるよ』
……イメージできてるかい?」
「はい」
「どんな気分?」
「……褒(ほ)めてもらえて、嬉しいです」
「そうだね。
きみは、彼にむかって、微笑みながら、こう応(こた)える。
『ありがとう』
彼は、きみの嬉しそうな笑顔と、きみの『ありがとう』の言葉を嬉しく思い、ちょっと照れくさいような、それでいてどことなく誇らしげな様子で、微笑みを浮かべる……」
「…………」
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