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「どうだった、今回のイメージは?」
「彼がわたしに親切にしてくれて、嬉しかったです。
……でも、それ以上に嬉しかったのは、わたしが喜んでいることを、彼が嬉しく思ってくれたことです」
「そうだね、すばらしいよ!
それこそが、このイメージの核心と言えるところなんだからね」
「……どういうことですか?」
「恋愛心理研究の第一人者であるジョン・グレイ博士は、こんなことを言っている。
男性は『自分を愛してくれる誰か』ではなく『自分が愛することに成功する誰か』をさがすものなのだ、と。
そう、つまり男性というのは、『自分の力で喜ばせることができる女性』を無意識レベルでさがし求めているんだよ」
「なるほど……だから、わたしが『ありがとう』って言うと、彼も喜んでくれるんですね」
「そう、そのとおりだよ!
女性が人間関係や連帯感を重視するのに対して、男性というのは『能力』や『結果』を重視する傾向にある。
つまり男性のマインドは、自分の力で成功を勝ちとることを潜在的に強く求めているんだ。
『自分の力で』というところが男性にとっては何よりも重要なんだ。
だから男性は、自分がしたことで女性に感謝をされると、
『俺は彼女を幸せにできている』
『俺と彼女の関係は成功している』
そう感じて、男性としての自信と喜びで心が満たされるんだよ」
「なるほど……」
「実際、仲のいい恋人同士というのは、本人たちに自覚があるか否(いな)かに関係なく、それをやっているものなんだよ。
彼は、いつも彼女のことを気にかけていて、まめに気づかいをする――
彼女はその気づかいを嬉しく思い、笑顔で『ありがとう』を言う――
彼は、彼女を喜ばせることに成功して嬉しくなる――
さっき幸坂は、『自分が喜んでいることを、彼が嬉しく思ってくれたのが嬉しい』って言ったよね。
その気持ちがあるのは、最高だよ。
彼の親切に女性が喜ぶ――
女性が喜んだ姿を見て、彼が喜ぶ――
喜んでいる彼を見て、女性が喜ぶ――
そんなふうに喜びの連鎖(れんさ)がおこれば、最高に幸せな関係だと言えるんじゃないかな」
「そうですね。それって、すばらしいと思います」
「もし、『すでに仲のいい恋人であるかのように振る舞う』ということがよくわからない、というときは、この『ありがとうのイメージ』を思いだしてごらん。
そして、彼のちょっとしたやさしさに『ありがとう』を言うように心がけてごらん。
男性は、『自分の力で喜ばせることができる女性』を潜在的にさがし求めている。
だから男性は、『ありがとう』と言う女性の笑顔に『理想の女性像』を垣間(かいま)見るんだ。
彼に『仲のいい恋人同士になったときのイメージ』を伝えるのに最善の方法だと言えるよね」
「なるほど……『ありがとう』って、すごいんですね」
「そうだね。
ちなみに、男性が『ありがとう』のイメージ法をやる場合は、
自分がしてあげたことで、彼女が嬉しそうに笑って『ありがとう』と言ってくれる――
その姿をイメージするんだ。
彼女が喜んでくれた姿をイメージして『快(かい)』になる――
このイメージ法は、男性が潜在的にいだいている『女性を喜ばせることに成功したい』という欲求を満たしてくれる。
そして、それと同時に男性としての『やさしさ』や『愛情』を心の奥深いところから呼び起こしてくれるんだ。
とても冴(さ)えた方法だよね」
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