2019年3月1日金曜日

4 対処法(その二)(2)

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「そうだよ。世の男性のほとんどが、恋愛のやり方というものをわかっていない――それが事実なんだ。
 ちょっと考えてみてごらん。男性が子供のころから関心をもっているものと言ったら、いったいどんなことだろう?
 男の子は、どんな漫画(まんが)やアニメに夢中になってる?」

「ええっと……かっこいいものとかですか? 戦って、勝利して、かっこよくポーズを決めて……そういうヒーローものが好きですよね、男の子って」

「ふふ、そうだね。男の子が好きな漫画やアニメにはバトル系のものが多いよね。
 ほかにも冒険ものや、スポーツや格闘技を題材にしたもの、事件を解決する探偵系の物語、ロボットなどのメカがでてくる話なんかも好きだよね。
 男の子の興味や関心はこれらのものに集中する。そして、このなかに恋愛の物語はふくまれていない。

 男性脳は、能力や結果を重視しているから、幼少のころから戦い、勝利、成功、達成、解決、栄誉、強さやたくましさを感じさせるものなどに関心があるんだ。
 そして、この男の子の心理傾向は、大人(おとな)になってもそっくりそのまま引きつがれていく。
 つまり、男性というのは子供のころから恋愛に対する意識が低く、そのまま大人になって恋をするようになるんだ。
 これじゃ、恋愛下手な男性が多くなるのはとうぜんだよね」

「なるほど……言われてみれば、たしかにそうですね」

「相内さんの彼は、3つ年上だって言ってたよね?
 相手が年上だとなおのこと、男性がしっかりとリードしてくれるのがあたりまえだと思ってしまうし、期待もしてしまう。自分よりも大人で、恋愛のこともよくわかっていて、頼もしく導(みちび)いてくれるものだと思い込んでしまいがちだけど、実際はそうじゃない。
 年上であっても、男性というのは一般的に、恋愛にはうといものなんだ。
 恋愛に精通し、女性との接し方を心得ている男性というのは稀(まれ)なんだよ。僕のような男はね」

「…………」

「いっぽう、女性のほうは一般的に子供のころからロマンス――恋物語に強い関心をいだいている。
 女の子が好きな漫画や物語と言えば、やっぱり恋愛ものがダントツでいちばん人気だよね。
 つまり、女性は子供のころから恋愛に強い関心をもっていて、恋愛に対する意識が高いってことだよね。

 一般的に、恋愛のことは女性のほうがよくわかっている。小さいころから異性と交際するイメージを積みかさねているからね。
 だから、女性のほうから恋愛のやり方をさりげなく男性に教えてあげると、男女の交際がより理想的なかたちになるんだよ。
 そして、さりげなく彼に教えてあげるもっとも冴(さ)えた方法は――」

「女性のほうからお手本を示してあげる、ですか……。
 でも、やっぱり、わたしにはちょっとむずかしいように思えます」

「どうしてもできそうになければ、ムリをする必要はないよ。
 でもね、彼がメール無精(ぶしょう)なのは『メールとは用を伝えるもの』という潜在的な思い込みがあるせいで、『メールでのコミュニケーションを楽しむ』というイメージや発想がないからなんだ。
 だから、女性のほうからお手本を示してあげると、『用がなくてもメールして、コミュニケーションを楽しむ』というメールの使い方があることを、彼は体験によって知ることになるんだ。
 その体験的な理解が深まっていけば……
 彼のほうから積極的にメールを楽しむようになる可能性は、とても高いと言えるよね」

「……たしかに、そうかもしれませんね」

「とはいえ、恋愛は相手があってのことだから、かならずそうなるとはかぎらないんだけどね。最終的には、彼しだいってことだよね。
 でも、もし『受け身でメールを待ちつづけるのはもういやだ、何かできることがあるのならどんなことでもする』という気持ちがあるのなら……
 相内さんのほうからお手本を示してあげるのが、いちばんいい方法だと言えるよね」

「たしかに、先輩の言うとおりだと思います。
 ……でも、お手本を示すって、どうやればいいんですか?」

「そうだね。女性のほうからメールをする場合、どういう文面にすればいいのか、すこしアドバイスしておいたほうがいいかもしれないね」

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