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「そうだよ。世の男性のほとんどが、恋愛のやり方というものをわかっていない――それが事実なんだ。
ちょっと考えてみてごらん。男性が子供のころから関心をもっているものと言ったら、いったいどんなことだろう?
男の子は、どんな漫画(まんが)やアニメに夢中になってる?」
「ええっと……かっこいいものとかですか? 戦って、勝利して、かっこよくポーズを決めて……そういうヒーローものが好きですよね、男の子って」
「ふふ、そうだね。男の子が好きな漫画やアニメにはバトル系のものが多いよね。
ほかにも冒険ものや、スポーツや格闘技を題材にしたもの、事件を解決する探偵系の物語、ロボットなどのメカがでてくる話なんかも好きだよね。
男の子の興味や関心はこれらのものに集中する。そして、このなかに恋愛の物語はふくまれていない。
男性脳は、能力や結果を重視しているから、幼少のころから戦い、勝利、成功、達成、解決、栄誉、強さやたくましさを感じさせるものなどに関心があるんだ。
そして、この男の子の心理傾向は、大人(おとな)になってもそっくりそのまま引きつがれていく。
つまり、男性というのは子供のころから恋愛に対する意識が低く、そのまま大人になって恋をするようになるんだ。
これじゃ、恋愛下手な男性が多くなるのはとうぜんだよね」
「なるほど……言われてみれば、たしかにそうですね」
「相内さんの彼は、3つ年上だって言ってたよね?
相手が年上だとなおのこと、男性がしっかりとリードしてくれるのがあたりまえだと思ってしまうし、期待もしてしまう。自分よりも大人で、恋愛のこともよくわかっていて、頼もしく導(みちび)いてくれるものだと思い込んでしまいがちだけど、実際はそうじゃない。
年上であっても、男性というのは一般的に、恋愛にはうといものなんだ。
恋愛に精通し、女性との接し方を心得ている男性というのは稀(まれ)なんだよ。僕のような男はね」
「…………」
「いっぽう、女性のほうは一般的に子供のころからロマンス――恋物語に強い関心をいだいている。
女の子が好きな漫画や物語と言えば、やっぱり恋愛ものがダントツでいちばん人気だよね。
つまり、女性は子供のころから恋愛に強い関心をもっていて、恋愛に対する意識が高いってことだよね。
一般的に、恋愛のことは女性のほうがよくわかっている。小さいころから異性と交際するイメージを積みかさねているからね。
だから、女性のほうから恋愛のやり方をさりげなく男性に教えてあげると、男女の交際がより理想的なかたちになるんだよ。
そして、さりげなく彼に教えてあげるもっとも冴(さ)えた方法は――」
「女性のほうからお手本を示してあげる、ですか……。
でも、やっぱり、わたしにはちょっとむずかしいように思えます」
「どうしてもできそうになければ、ムリをする必要はないよ。
でもね、彼がメール無精(ぶしょう)なのは『メールとは用を伝えるもの』という潜在的な思い込みがあるせいで、『メールでのコミュニケーションを楽しむ』というイメージや発想がないからなんだ。
だから、女性のほうからお手本を示してあげると、『用がなくてもメールして、コミュニケーションを楽しむ』というメールの使い方があることを、彼は体験によって知ることになるんだ。
その体験的な理解が深まっていけば……
彼のほうから積極的にメールを楽しむようになる可能性は、とても高いと言えるよね」
「……たしかに、そうかもしれませんね」
「とはいえ、恋愛は相手があってのことだから、かならずそうなるとはかぎらないんだけどね。最終的には、彼しだいってことだよね。
でも、もし『受け身でメールを待ちつづけるのはもういやだ、何かできることがあるのならどんなことでもする』という気持ちがあるのなら……
相内さんのほうからお手本を示してあげるのが、いちばんいい方法だと言えるよね」
「たしかに、先輩の言うとおりだと思います。
……でも、お手本を示すって、どうやればいいんですか?」
「そうだね。女性のほうからメールをする場合、どういう文面にすればいいのか、すこしアドバイスしておいたほうがいいかもしれないね」
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