2019年2月15日金曜日

なぜ『愛』の反対が『おそれ』なのか?


今回は恋愛に関するエッセイです。

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 恋愛心理に関する専門家――
 自己啓発家や、精神世界の指導者――
 古今東西の聖人・賢者――

 これらの人々が、たびたび口にしていることがあります。

 それは、

『愛』の反対は、『おそれ(不安)』である

 ということです。

 もしかすると、あなたもどこかで聞いたり、何かの本で読んだことがあるかもしれませんね。

 ですが、「なぜ『愛』の反対が『おそれ』なのか」を理解している人は、あまり多くありません。

 今回は、
『愛』の反対が『おそれ』と言われている理由」
 について、お話しいたします。


『愛』と『おそれ』は対極


『愛』の反対は『おそれ』である

 そう言われても、ほとんどの人は、
「????」
 と思うはずです。

 ふつうに考えれば、

『愛』の反対は、『憎しみ(きらい)』である

 あるいは、

『愛』の反対は、『無関心』である

 そのように定義されますからね。


『愛』の反対が『おそれ』である理由


 なぜ『心』に精通している人たちは、『愛』の反対は『おそれ』だと言うのでしょう?

 それは、『愛』という感情の性質として、
の裏側には、おそれが影のように付きしたがう」
 からなんですね。


 20世紀インドの神秘家、OSHO(オショー)という人物の講話録から引用を。

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 たとえば恋に落ちた人間は、相手に捨てられやしないかと恐くなる――たちまち恐怖が現れる。
 恋していなかったときは何の恐れもなかった。
 ところが今は恋をしている。

 ――<中略>――

 決して誰にも恋しない人間なら、捨てられはしないかという恐怖はまったくない。
 世界全体に捨てられたとしても、恐れはしない。
 そんな人間は傷つくことがない。
 だから安全だ。
 人を恋すると、危険が現れる。

『タントラ秘宝の書 第九巻 生の神秘 ヴィギャン・バイラヴ・タントラ』 和尚(OSHO):講話  スワミ・アドヴァイト・パルヴァ(田中ぱるば):訳  和尚サクシン瞑想センター:編集  市民出版社(1997年)
(99番目の技法「あらゆる方向に広がる」より引用)
ネット上で読みやすいように体裁(文章の見た目)を整えてあります。
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 誰かのことを好きになると、その相手から「好かれたい」という想いがわきあがってきます。

 そして、その「好かれたい」という想いは、
「きらわれたくない」
 という『おそれ(不安)』を生みだします

 好きにならなければ、この『おそれ』は存在しませんでした。
 つまり、『愛』が生みだした『おそれ』なんですね。


『おそれ』から逃げないことは『愛』に生きること


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「それにしても、疲れた……ただ話しかけるだけなのに、どうしてこんなに緊張するんだろう?」

「嫌われたくないからだよ。うかつなことを言って嫌われるくらいなら何も言わないほうがいい。嫌われることを過剰におそれるのは、それだけ本気ってことさ。
 もっとも、怖いからって逃げてたんじゃ何もはじまらないんだけどね」

『きみの微笑みが嬉しくて』 第三章 長い一日はまだ終わらない より抜粋
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 光があるところには、影がある――
 それとおなじように、『愛』には『おそれ』が付きしたがいます。

 ですが、こわいからといって逃げていたのでは、何もはじまりません。

 逃げてしまえば、『おそれ』はなくなるかもしれません。
 ですが、あなたのハートにわきあがってきた『愛(好き=快)』という感情も、うしなわれてしまいます。


 好かれたい、きらわれたくない――

 それは不安で、とてもこわいものです。

 でも、逃げてはいけません。
 この『おそれ』から逃げてしまうと、『愛』からも逃げることになります。
 みずから「喜び」や「幸せ」の可能性を放棄することになります。


あなたの想いが「真実の愛」になるとき


 また、『おそれ(不安)』が心にやってきても、それを言動に移すことなく、やり過ごしましょう。
『おそれ』は、言動に移すことによって強大になり、より複雑になっていきます。
 もとは「きらわれたくない」という素直な『おそれ』だったものが、嫉妬(しっと)や支配欲、執着へと発展し、常軌(じょうき)をうしなわせます。

 その『おそれ(不安)』は、「好き」という感情から生まれたものではありますが、『愛』ではありません。

影は、光によって生まれるが、光ではない――

 意識の焦点を、『光』すなわち『愛』のほうに合わせましょう。
「きらわれたくない」という不安ではなく、「好き」「愛しい」という想いに、意識を同調させましょう。

 影(おそれ)にとらわれることなく、
 光(愛)にもとづいて考え、話し、行動しましょう。

 それができたとき、あなたの想いから、かげりが消えます。

 あなたの想いが、純真な好意――「真実の愛」になります。


このエッセイは、本条克明が以前に運営していた『本条克明ライターズブログ』というサイトに掲載した記事を改訂したものです。

「恋をすると自信がなくなる」については、当サイトに掲載の『うまくいく恋愛ができるようになるために』の恋愛講義・第2回をご参照ください
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