**********
「守る」とは?
誠一は、暮咲さんのことが好きだからこそ、自信をうしない、暮咲さんから逃げだした。
その心理の根底には、「暮咲さんのことを守ってあげたい」という想いがあるんだ。
男性は、恋をすると「守ってあげたい」という想いが心の奥深いところからこみあげてくるものなんだよ。
この「守ってあげたい」という想いが、男性にとっての『愛』であり『やさしさ』なんだと思う。
でもね、この「守ってあげたい」という想いは、ネガティブにはたらくこともあるんだ。
男性は、「愛(いと)しい人のことを守ってあげたい」という想いを潜在的にいだいている。
でも、
「守るとは、どういうことなのか?」
その意味を理解している男性は、あまり多くない。
だから、彼女のことを愛しく想うほど、「守ってあげたい」という想いが強くなるほど、男性は自信をなくしてしまう。
それは、「彼女のことを守ってあげている」という実感がないからなんだ。
守るとはどういうことなのか、それがわかっていないのだから、実感をいだけるはずがないよね。
彼女に対する想いが真摯(しんし)であるほど、「守ってあげたい」という想いは強くなっていく――
でも、守ってあげているという実感がもてないから、潜在的な不安を感じて、自信をなくしていく――
彼女を愛しく想えば想うほど、男としての自信をなくしていく――
でも、守ってあげているという実感がもてないから、潜在的な不安を感じて、自信をなくしていく――
彼女を愛しく想えば想うほど、男としての自信をなくしていく――
それは、よくあることなんだよ。
はっきりとした敵のような存在がいて、その敵が彼女を物理的に傷つけようとしている――というのならわかりやすいけど、戦って敵から守らなければいけないシチュエーションなんて、ふつうに生活していたらまず起こらないよね。
それにこの「守りたい」という想いは、そんな単純なものじゃなくて、もっと精神的というか内面的というか、そういう意味での「守りたい」のはずだよね。
暮咲さんは、
誠一といると安心する――
守られてるって、そういうことだと思う――
誠一にそう伝えたという。
そのことを誠一から聞いて、僕は感銘(かんめい)を受けたよ。暮咲さんは本当にすばらしいことをしたと思う。
暮咲さんは、誠一に教えてあげたんだ――守るとはどういうことなのか、その真実を。
「相手を安心させてあげること」
精神的な意味での「守る」とは、そういうことなんだよ。
きみの手のぬくもり、
きみの声、
きみの笑顔、
きみという存在、
きみの声、
きみの笑顔、
きみという存在、
それらには、きみの大切な人を「不安」や「さびしさ」から守る『力』がある。
何かと戦ったり、誰かとあらそったりする必要なんてない。
むずかしいことに挑戦したり、何かを達成する必要もない。
一緒にいること――
やさしい気持ちで、そばにいてあげること――
やさしい気持ちで、そばにいてあげること――
ただそれだけで、守ってあげることができる。
彼女の『心』を、守ってあげることができる。
きみの存在が、
「私はひとりぼっちじゃない、私は大切にされている」
という実感を、彼女に与えることになるのだから。
次の解説を読む
<巻末付録>
賢策の『いま幸せ』解説
→変えるのは感情
→笑っていると機嫌がよくなる理由
→『いま』が幸せなら、人生が変わる
→いつもずっと上機嫌でいる必要はない
賢策の恋愛解説
→恋愛に戦略的不機嫌はいらない
→女性の冷たい手を、男性は……
→笑顔は言葉以上に想いを伝える
→男性が打ちのめされるとき
→男性は自然消滅で終わらせようとすることがある
→「守る」とは? 当記事
→笑顔、恋、いま幸せ
参考資料